PHOTO © NATSUKI MIZUTANI

この住宅は、JR京浜東北線本郷台駅から徒歩10分程の80年代に分譲開発された住宅街にあります。既存の住宅は北側の道路面に2mの高さの擁壁、南側には隣地に向いた小さな庭がありました。擁壁が道路面に対して続くため街を歩くとどこか殺風景な景色であり、バブル期に開発されたことで最近では住み手も変わりはじめ、世代交代の時期を迎えています。
 
そこで、道路との高低差はそのままにしながら、2mの高さ擁壁を取り払い、街と建物が緩やかにつながりながらも見晴らしとセキュリティ性を活かす計画としました。
 
元々あった擁壁は緩やかな斜面になり、施主が時間をかけて好きな植物を育てていきます。世代が変わるとともに、街と建物のあり方を見直すことで既存のコミュニティを継承しながら、新しいつながりを生むことを願っています。
 
建物の内部は、敷地南北の特性を活かし、場所場所で窓の大きさやプロポーションや種類を変え、様々な居場所となる窓辺をつくっています。例えば、花をつける木を望む窓辺は落ち着いたデスクスペースにし、北側の見晴らしの良い窓辺は大きな窓があるワークスペース、大きなどんぐりの木の前には高さ3.5mの窓を設け、みんなの集まるスペースにしています。
 
建物全体を高気密・高断熱にするとともに、上下の空気を入れ替えるカウンターアローファンを取りつけることで、吹き抜けの大きなワンルームでも心地よく過ごせる温熱環境を実現しました。
 
業務内容：建築設計・工事監理
所在地：神奈川県栄区
規模：木造2階建て
敷地面積：207.9㎡
建築面積：66.2㎡
延床面積：116.98㎡
構造エンジニア：有限会社たつき設計
施工会社：株式会社堀井工務店

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